事例・体験
年老いた父と感動の分かちあいを広島県(実父84歳)
【状況】
高齢で、いつつまずいてころぶか分からないので、家族全員が外出しなければいけない日、朝から夕方までデーケア・サービスの施設へ預かってもらった。
帰宅した時「お父さんが急にボケた」と言う知らせを聞いて実家へかけつけたら、姉と妹の2人が父の手を引っ張って寝床へ連れて行こうとしていた。「もう30分もこんな状態で、一歩も動かないのよ」と姉。父の身体はカチンカチンに硬直しているようすである。
- 私:
- 「お父ちゃん、今日、知らない所へ連れて行かれて嫌だったのね」(うしろから父を抱きかかえるようにしっかり支えて話しかける)
- 父:
- (顎をガクガク震わせている)
- 私:
- 「知らない人がお風呂に入れてくれたり、知らない部屋に寝たりして心配だったんだね。」
- 父:
- (一歩も動くまいというように足をつっぱっている)
- 私:
- 「知らないところだから歩くのが怖いねえ。ひっぱって行かれるのは嫌だね。怖いね」(私は自分の足をしっかり踏ん張って、よろけないように腰を据えて、しっかりと父を支えて、しばらく能動的な聞き方を続けた)
- 父:
- (身体が軽くなったように思えたので父の足もとを見ると、普通に立って、腰も決まっていて、身体が軟らかくなっていた)
- 私:
- 「ここはお父ちゃんの部屋なんだね」
- 父:
- (自分で、とことこ歩いて寝床に入った)
感想
感動的な体験でした。能動的な聞き方を身につけていて、本当によかったと思いました。